岩本隆史の日記帳(アーカイブ)

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楳図かずお邸と「公共の福祉」

漫画家の楳図かずお氏が自宅を紅白のストライプに塗装しようとし、近隣住民から差し止めの仮処分申請が出された件は、民事訴訟にまで発展している。楳図氏の「塗装したい権利」と近隣住民の「奇抜な建物を近所に建てさせない権利」が衝突しているわけだ。個人的にはどちらの気持ちもわかる。

今回の民事訴訟において、裁判官は、どちらの権利を認めるのか判断しなければならない。両方の権利を同時に認めることは物理的に不可能だから、一方がその権利を濫用しているものとみなさなければならないのだ。

そのとき、「濫用か否か」の基準となるのが「公共の福祉」である。日本国憲法の第12条にこうある。

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

日本国憲法第12条 - Wikipedia

同じくWikipediaによれば「公共の福祉」とは「人権相互の矛盾を調整するために認められる実質的衡平の原理」のことである。簡単にいえば『A氏とB氏の権利が衝突する場合、どちらかに泣いてもらわねばならない。どちらに泣いてもらうか決める際の判断基準を「公共の福祉」と呼びましょう』ということだ。

たとえば、A氏が『「B氏はアホだ」と公言する権利』を行使した場合、B氏の「公の場でA氏にアホ呼ばわりされたくない権利」と衝突する。これが裁判沙汰になれば、いずれが濫用か「公共の福祉」によって判断される。(参考:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071226-00000123-mai-soci

以上が私の「公共の福祉」理解である。誤りがあれば指摘されたし。