「味わわされる」
この人たちは、戦後民主主義の中では、本来は権力に関わる立場にいながら、言論界ではしばしば少数派の悲哀を味わ(原文ママ)わされている。
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上記は評論家・呉智英による文章の一部だが、「(原文ママ)」は転載者が付加したものだ。転載者にとって「味わわされて」は誤った表記なのだろう。
しかし、明鏡国語辞典は「味わわされる」が正しいという。
「味あう」「味あわない」「味あわされる」とするのは誤り。正しくは、「味わう」「味わわない」「味わわされる」。
http://www.taishukan.co.jp/meikyo/meikyo_can_top.html
NHKのコラム『ことばおじさんの気になることば』の「是非 味あってください!?」でも、『現在、辞書のほとんどには「味あう」は間違い、誤用とされていますのでご注意を』と書かれている。
ところで、同コラムには『「味わう」「味あう」は昔から揺れていたことばのようです』とある。鎌倉時代に「あぢあふ」という用例があるためだ。
しかし、なんだか釈然としない。現代日本でも、たとえば「こんにちは」を「こんにちわ」と誤る用例がある。これも未来の日本人には「揺れ」にみえるのだろうか。鎌倉時代の人間に『「あぢはふ」が正しいですよね?』と聞いてみたいところだが、まあ無理な話だ。