「筒井康隆、筒井康隆を読む」を見た
下北沢の北沢タウンホールで「筒井康隆、筒井康隆を読む」を見た。筒井康隆が自作の小説を朗読し、氏の古くからの友人・山下洋輔がピアノを演奏するという内容。
朗読といっても、そこは筒井康隆、台本を手に持った一人芝居、あるいは落語のようなもので、「おもての行列なんじゃいな」ではアル中の老人、「昔はよかったなあ」では嘘ばかりいうこれも老人、「関節話法」では異星人と交渉する地球の大使を、身振り手振りを交えて演じる。アンコールの「発明後のパターン」の60年代編と現代編を合わせ、3時間弱の長丁場だった。今年で74歳、体力が持たないので、これが最後の舞台とのこと。そんな舞台を見ることができて、本当に幸せだと思う。
楽しみにしていた「関節話法」は予想どおり爆笑の連続で、私も妻も声をあげてしまった。こんなに笑ったのは久しぶりだ。私がもし笑いが取れずに悩んでいる芸人だったら、これを見て自分の不甲斐なさに呆然となるか、何かきっかけをつかんで開眼するかしたのではないか。
山下洋輔の「組曲・筒井康隆全作品」の演奏中、スクリーンに筒井作品の作品名と発表年が次々映し出され、15歳の頃に「驚愕の曠野」を読んだのがリアルタイムな筒井体験の始まりだったことを思い出した。あれもとんでもない小説だったなあ。「おねえさん」が素敵で、今にして思えば「萌え」ていた気もする。
なお、映し出された作品名に誤記を2つ見つけた。「アルファルファ作戦」が「アルファアルファ作戦」、「おれに関する噂」が「おれに関する嘘」になっていた。明日も公演はあるが、もう直らないか。
ロビーではサイン本が売られていて、読みたかった「ダンシング・ヴァニティ」を買って帰宅。4分の1ほど読んだが、これまたとんでもない話。続きが気になる…。