岩本隆史の日記帳(アーカイブ)

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筒井康隆「ヨッパ谷への降下」を読んで

自分にとっておかしいとしか思えない意見ばかり書かれるブログを律儀に読んで毎回げんなりするのは時間の浪費だと思うのだが池田信夫氏や小倉秀夫氏のブログに見られるその手の読者は自身の行為を時間の浪費と思っていないのか時間の浪費を不快と思っていないのか。金銭や健康の浪費にはしばしば快楽が伴うから時間の浪費に快楽を覚える機微も分からないではないものの金銭や健康の浪費に同じく時間の浪費も後悔の元になると思えば未来の自分にとっては不快そのものだ。それが時間の浪費でないとすればげんなりから何かが生み出される場合であり馬が合う仲間と「池田氏にはまったくげんなりするよ」などと端から想定できたはずの読後感を確かめ合ったところで何も生み出されはしない。非生産的な行為に浪費する時間があるならすべからく生産的な行為に振り向けるべきだが彼らにそれを期待するのはまさに時間の浪費でしかなくそうと気づいたときに私は期待することをやめた。

筒井康隆「ヨッパ谷への降下」(同名文庫所収)は読点の一切ない短編小説だ。上で試してみたが読点を打たずに文章を続けるのは難しい。しかしこの手法が気違いじみた雰囲気を醸し出すのだ。さきほど読んで圧倒された。